大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)3312号 判決 1952年3月13日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長野国助、同滝沢国雄の上告趣意について。

印紙税法四条二九号にいわゆる「受取書」とは、その名称が受取、記、証その他の如何を問わずその内容、実質が金銭、物品等の受領を証明する書面を指すものであって、同法第一条の「財産権の創設、移転、変更若は消滅を証明すべき証書」の一に該当するものをいうのである。そして、仮受取書は、後日交付される本受取書と同一の内容を証明するものであって、その名称は「仮」とはいっているが、その法律上の作用においては両者の間に差異なく、裁判上又は裁判外において両者いずれも各独立して前示受領の事実を完全に証明する効力を有するものと解される。されば、仮受取書についても本受取書と同じく、これを作成する者において所定の印紙税を納むべきものと解するを相当とする。従って、これと同趣旨に出た原判決の説示は正当であって、所論引用の大審院判例は本件に適切であるとは認められない。それ故、所論は、すべて採用できない。

よって、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例